月の主題 「希望をもって」

園長 藤本 昭子

 厳しい寒さの冬を乗り越え、桜の蕾も少しずつ膨らんできています。今年は開花が例年より遅くなるということですが、一足早く春の訪れを告げる可憐なスイセンの花に、逞しさと強さ、希望を感じています。
 かつて、お子さまの入園の際に「どんな子どもに育って欲しいですか?」と面接で伺いました。すると、ほとんどの方が「優しい、思いやりのある子に育って欲しい」という答えが返ってきました。『優しい、思いやりのある子』はどうやって育つのでしょう。目には見えない心の部分は、言葉で教えることはできません。一般的に優しいと言われる子どもたちには、共通の能力があるようです。それは、『想像力』と『共感力』です。相手の気持ちを想像できるようになると、その人に共感していたわることができるようになります。絵本を読むことや、ごっこ遊びをすることも有効のようです。絵本では登場人物に自分の気持ちを投影し、ごっこ遊びでは自分以外の存在になりきることができます。幼稚園では、遊びの中でしばしば喧嘩が起こります。モヤモヤした気持ちを抱えた時に大人のようにすぐに感情をコントロールすることが難しいため、子どもたちは手が出たり、乱暴な立ち振る舞いになってしまう場合があります。悲しい気持ちを察するには自分も悲しい体験をする必要があり、辛い気持ちに共感するには自分も辛い経験をする必要があります。
 年長さんはこの3月で卒園となります。四恩幼稚園で友だちと心ゆくまで遊んだ子どもたちは、さまざまな心を動かす経験の中で共感能力を身に着けました。草木が伸びるように、また蕾が開くように子どもたちも未来に向かって新しい一歩をこれから踏み出そうとしています。年少さん、年中さん、年長さん、それぞれが、神さまからの豊かな恵みをいただき、大きく成長していくことを願っています。

3月 光の子として歩みなさい                                           (エフェソの信徒への手紙5章8節)

チャプレン 司祭 窪田 真人

  子どもたちは神さまに招かれてこの四恩幼稚園に集まりました。ここでたくさんのことを学んで成長していきます。聖書によると神さまは世界のはじめに光をつくられました。皆が迷わずに道を歩めるため。そしてイエスさまは、皆を照らし導く光としてこの世界においでになりました。イエスさまは子どもたちに「皆はわたしの大切な子どもたち、光の子です。心配なことがあっても、失敗しても大丈夫。皆の中にも光があって輝いていますよ。光の子として元気に歩んでくださいね」と励ましていてくださいます。子どもたちはこれからも光に育まれて、まわりを照らす光になっていくでしょう。わたしたち大人の役割は彼を輝かすための手助けをすることではないかと思うのです。子どもたちは、イエスさまの光に照らされ包まれた「光の子」です。光を受け、光を宿した子どもたちは、やがて自分からも光を輝かせはじめます。
 さて、すでにお知らせしている通り、4月からも引き続きチャプレンとしての関わりは継続しますが、まもなく私も沼津を去り静岡市に居を移します。
この7年の間にはコロナ禍もあり、十全な働きができなかったこともありましたが、拙く不十分ながら沼津の地にあって定住という形で子どもたちの輝きを灯すためのお手伝いを担わせてくださったことに心から感謝します。いつも新鮮な気づきを与えてくれた幼稚園の子どもたち、同僚の先生方、保護者の皆さん、子を育てる喜びを与えてくれた子どもたちに感謝します。そして時によい友人として、家族として相談相手となってくれた妻にも心から感謝します。
皆さまお一人おひとりに豊かな祝福をお祈り申し上げます。
 ここで一旦の区切りです。Hasta la vista, baby!